【小説】昼間の会話、神の存在/なかがわひろか
 
に収まるようだった。

 「なんだか曖昧だな。」思ったことを口に出す。「曖昧すぎて妙に納得してしまう。」僕は言う。
 「それでいいのさ。」男は返す。
 「がっちり形を示しちまうと、なんだか壊したくなるだろ?
曖昧で抽象的だからこそ、なんとなく信じてしまう。要するにそういうことなんだよ。」男は言う。

 うん。なんだか納得してしまう。
 男の言うことは間違っていない気がする。
 男は神だ。
 ただ、それだけだ。

 そういうことなんだよ。

 男はもう一度そう言った。


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