【小説】昼間の会話、神の存在/なかがわひろか
何のためにいるんだい?」僕は率直な疑問をぶつけた。だって男は神なんだ。その神がまずそうに缶コーヒーを飲んでたら誰だってそんな質問をしたくなるさ。
男は少し間を置いた。
もう何度も同じことを繰り返して、一番効果的な言い方を知っているかのような素振りだった。
1、2、3、タイミングを計らって男は口を開く。
「存在のためさ」
男は缶コーヒーを飲み干すと、ゴミ箱の中に放り投げた。一回でゴミ箱に収まると少し嬉しそうだった。それは男が僕等となんら変わりのない生き物の象徴の様な行為だった。
「存在のためさ」
男はもう一度そう言って、またふふと笑った。どう
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