【小説】昼間の会話、神の存在/なかがわひろか
 
線だとか運命線だとかがちゃんと引かれている。とにかくなんていうか、普通のよくある手のひらなんだ。
 「僕はタバコを吸わないんだ。悪いね。」僕がそう言うと、男は意外そうな顔をした。
 「みんながみんな好んで吸うわけじゃないんだ。むしろ最近じゃ吸わない人の方が多いよ。」
 神は少し驚いて、「時代も変わったんだな。」そう言った。
 僕は自動販売機でコーヒーを買って、男に手渡した。ありがとよ。そう言って、とてもまずそうに缶コーヒーを飲んだ。何もそんなにまずそうに飲まなくてもいいじゃないか。僕は少し苛立った。
 「一つ聞いてもいいかい。」男は顔をこちらに向けた。
 「あんたは結局何の
[次のページ]
戻る   Point(5)