始発前の駅前屋台にて/錯春
 
爬虫類のように啜って、 
 今度は私の膝に倒れこんできた
 「寝かせてあげなよもう始発まですぐなんだし」
 オヤジがなまっちろい顔をして、上品ではないが
 働き者の笑顔
 「もしや店主、東北ですか」
 「ええ、福島です」
 「私は宮城です」
 「どおりで、お嬢さん色がしろい」
 「そうゆう店主もどざえもんみたいにしろい」
 くくくふふふと笑い合い、膝の恋人を見やると、
 腰に回した腕と腕がすっかり同化して、
 輪っかになり、安心して熟睡している
 オヤジの顔は、白々として
 真っ黒い夜明け前の空気にあぶりだされて余計に青い
 どこからか河のにおいがする
 東北のいく
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