【小説】非習慣的な夜/なかがわひろか
は当然のことだから、僕はそのことについて深く友人たちと語り合うことはできない。いや、しようと思ったらできるかもしれない。だけど、僕らはそういった思想的な話をしちゃいけない世代でもあるんだ。そういう話をしたら笑われる。そういう世代なんだよ。
さっき大学時代にゼミが同じだった友人から連絡あって、彼女はとある大きな大きな会社に勤めていて(ここまで言ったら大体の予想はつくだろう)、この四月から岡山勤務から東京本社勤務に栄転したとのことだった。彼女は学生時代から聡明を絵に描いたような女の子で、カナダににも留学していたし、TOEICなんて僕がいくら勉強しても取れないような点数を取るようなまさに才女だった
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