【小説】非習慣的な夜/なかがわひろか
代はどうだい。失われた10年だとか何とか言って、僕らの青春時代、日本はお先真っ暗な陰鬱な時代を過ごしていた訳だ。僕らの世代にわざわざヘルメットを被って、バットだとかそれなりの武器になるものを持っていざ闘争せん、と意気込んでいるやつなんていやしない。いたってそいつらに市民権なんて何もない。僕らは他人といかにうまくやって、そして世間にそれなりのいい評判を立ててもらって、就職氷河期の中なんとか就職をすることだけの人生か、アルバイトをしながら自分の好きなこと(好きなことって結局なんだい)をやって生きるか、それともそれすらせずに日々をのんびり生きるかを選ぶことしかできないんだ。もちろんそんなやつらは世間から
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