【小説】非習慣的な夜/なかがわひろか
から白い目か同情色の視線を浴びる。そんな時代なんだよ。嘆いても時間の無駄だ。
だから僕は(何度も言うけど)70年代に青春を迎えていた人たちを本当にうらやましく思うし、とてもずるいとも思っている。あの時代を生きただけで、それなりの人間になれるなんて、なんだか不公平もここまで来るとどうしようもない。そんな風に思うんだよ。
そうは言いながら、僕はその時代の書物や音楽は好きだ。現代作家の本や、映画や音楽を読んだり見たり、聴いたりするくらいなら、その時代に生まれた良質(といわれていることにもう口をはさんだりしないよ)な商品を読んだり、見たり、聴いたりして、詳しくなって、あの時代の産物は本当に素晴
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