【小説】非習慣的な夜/なかがわひろか
 
素晴らしいものだったと知ったふりしながら話をする方が好きだ。それだけで知的に見えるし、通にも思われる。まあそんなことばっかりしていても、簡単にセックスができるわけでもない。フリーセックスの時代なんてとうの昔に終わってるんだ。お金の匂いがしないセックスなんて今やなんの魅力もない。ふざけた時代だよ。ラブ&ピースだよ。うらやましいよ。
 
 自慰行為と70年代の小説について少し語ったけど、これだけのことで僕のことを分かった気になってほしくはないね。何も僕は自分自身が奥が深くて、そのうち大学4年生の卒業論文のテーマとして取り上げられるようなそんな偉い人間だなんて言いたい訳じゃないよ。でも僕だってそ
[次のページ]
戻る   Point(3)