初恋/美砂
 
「もう会えないんだね」
両親は僕の涙をみて驚いていた
僕もまたなぜ涙がでるのかわからなかった
死んでしまうということと、二度と会えない場所へいってしまうということの
明確な区別がついていなかったのかもしれない
僕らはあれから一度も会っていないし、もう会わないだろう
会えないのではない 会いたいという気持ちがないのだ
だがそのときはちがった

小学生になって友達はそれなりにできたが
いつまで待っても君の代わりはみつからない
ほとんど狂いそうになって
君の新しい住所へ
遠慮してか、ぐずぐずとしぶっていた母になんとか
電話してもらったとき
すでに6ヶ月がすぎていた


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