初恋/美砂
を
君は
四月には、僕といっしょに小学校へあがる予定だった君は
いきなりまた都会へかえることになった
父親の転勤らしかったが
僕には意味もわからず
ただ母がそう告げた夜
僕ははじめて寝小便をした
ひとにいえない夢をみて
別れの日
僕は両親とともに
空港へ君と君の両親を見送りにいった
いつまでもすがりつく僕をふりきるように
君は背をむけて
羽のような足どりで
搭乗ゲートへむかっていった
去ってゆくこの北国を惜しむように白い洋服をきた
君ら三人は、ほかのどの家族より輝かしかった
まばたきもできなかったよ
僕は帰りの車の中でずっと泣いていた
「も
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