初恋/美砂
の
身体測定の日
下着姿で震える君の肩に
僕は思わずキスをした
親たちは無邪気だと笑っていた
君は少し嫌な顔をしながら、くすぐったそうに
耳たぶを、僕の唇の触れた場所におしつけた
おそらく あの日、はじめて僕は
肉の欲望を意識したのだと思う
君の肩先で産毛が白く光り、押しつけられた耳たぶが粘土みたいにつぶれ
粘土といっても、僕らがいつも握っていたあんな泥くさいものじゃなくて
君らしい、君だけに似合うお菓子みたいな、パン粘土・・・
まちがって口にいれてしまいそうな・・・
白さ、やわらかさ・・・
僕はこの感情を隠さなければならないと思った
僕だけが気づいたこの感情を
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