現実主義者、日本晴の朝にさえ物思う/松本 卓也
嗚呼 何てよく晴れた朝だ
雲一つ無く透き通った蒼が
彼方まで薄く広がっている
風の囁きが耳に心地よく響き
色とりどりの花が道端で笑っている
ただどんなに空が澄んでいても
どれだけ風が優しくても
例え外出することが有ったとて
精々車での遠出くらいだから
日常に僅かな絵の具をたらすより
たいして記憶にゃ残らない
空の蒼さを賛美してみようが
爽やかな風をありがたがろうが
財布が重くなるでもなく
納期が延びる訳でもない
まぁ悔むほど悲惨ではないけれど
現実に穴が開くほどでも無かろうに
心寂しいと哂われるかもしれんし
つまらぬ生き様だと蔑まれることもあろう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)