湧き水湧く流れ/錯春
い、と、感化されやすい私は思う。
そして切り捨てられた私の固くなった角質の部分を齧り、耳の中の土佐錦はまた一回り成長する。
けんもほろろな私を噛みながら、そういうときの土佐錦は決まっていたづらっこそうな笑みを浮かべる。
?,オトコノヒトの魚
うすく、目を開いた連れ合いが
「今、とてもくだらないことを考えてたよ」
という。なにかと聞くと
「いっぱつ抜いたら、風邪のやつもぬけるっていうはなし」
という。
なんだそりゃ、と首を傾げると、また深い眠りの底へコポコポと潜っていってしまった。
連れ合いの胸にこもっていた河が一瞬遠のき、そっと土手を
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