湧き水湧く流れ/錯春
学をやめても好きでいてくれるかなどと残酷なことを問う。
私は、そこで
「あなたは、それを私ではなくて、自分に一番聞きたいんでしょう」
といったら、そうかもしれない、と黙った。
私は連れ合いに、それきりそのことを持ちかけることはしなかった。
あのとき、私は頷いていてもよかったのではないか。そして、もし頷かなかったとしても良いのではないか。
きっと、そのどちらを選んだとしても、私はそれなりの、レールの先にある、幸福に包まれて眠ることができるのだもの。
詩集を耳にあてて、焼け火箸のようにあつい連れ合いのリンパ腺を見ながら、耳をそばだててみる。
遠く遠くから、河の水滴が淀む
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