湧き水湧く流れ/錯春
 
いた。今ではその詩がなんだったかは思い出せない。
 つい先日、小池昌代さんの詩集を中身もろくに確かめずに購入した。それはインスピレーションを得たから。私は、この人の詩からきっと目を背けたくなる、そんなインスピレーション。
 私の直感は、結構当たる。とくにそういうときに限って。同属嫌悪といえば、私のうやむやを一番表せるだろうか。とにかくそういった類のものの影を、文字列のそこかしこにふらふらと漂わせている文体。そして私は目を背けたくなるものほど、目を凝らそうとする性質。
 私は、私とまったく対極にいるから、連れ合いの言葉に焦がれた。私には到底真似ができない、そう思わせてくれた。その彼が私に文学を
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