湧き水湧く流れ/錯春
 
えたあの河川。
 あの頃の私は、私の中に流れる河を知らず、そしてその源流を突き止める魚をワケもわからず捜し求めていた。
 


 ?,群れ



 私は、どうあっても、どこかで幸せになっているのは、きっと自分が女だからに他ならない。子宮という空洞があることの苦悩と豊穣。流血の賛辞。そして、幸福そうな顔を鏡に写しながら、健康そうに見えるように化粧をする。
 連れ合いの、埋め尽くされた隙間ばかりの丈夫な胴体、そこから聴こえてくる無音。
 空洞ばかりのおんなたちから響く音、それを吸い取る隙間を亡くしたおとこたち。
 私は、きっと、詩人になることは多分できないだろうけれども、空洞を
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