湧き水湧く流れ/錯春
 
洞をかき鳴らすことはできる。
 高すぎる体温は連れ合いを突き破り、埋まった隙間をほっくりかえして。私は、私の耳の間に流れる清浄な河川敷の水を掬って、その隙間に流し込んでいく。
 焼けた石の熱は、赤く透き通って、ぐらぐらと隙間の形を変えて。私の水は東北の片田舎のよく冷えて淀んだ緑色をしていて。焔と湧き水は浸食されることなく、冷たいものは冷たく、焼けたものは焼けたままで宵闇へと消えていく。
 みどりごさながらに、火照った連れ合いをかき抱きながら、その光景が銀河のように見えるのを感じる。
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