辺境の路/小川 葉
たのである。女神たちは、人間の女そのものであった。いや、女神たちの歪な関わりが、人間の女のそれと、何の変わりがないことを知ったのだ。憧れのヴィーナスさえ、信じられなくなったのである。裏切られた思いがした。
男はますますだらしなくなっていくのである。こんな男は、世にないだろう。しかし男は、自分を選ばれし者と信じてやまないのである。
あたりまえである。みなつよい。楽しさは、楽しもうとしなければ、実現しないが、くるしさは、くるしもうとしなくても、勝手にこちらにやってくるのである。だから、ひとは、つよくなければ生きていけないのだ。あたりまえである。
今日は何曜日? 知らない。
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