絵のない絵本のような/朝原 凪人
あらあら、さっちゃんどうしたの?」
「あのねあのね、
さっちゃん、ケンちゃんとけんかしたの。
もうケンちゃんなんかをあそびたくないの」
さっちゃんはないているりゆうをはなしました。
そうすればおかあさんが
またやさしくあたまをなでてくるとおもったのです。
ですが
「さっちゃん、わらって」
おかあさんは
あたまをなでてはくれませんでした。
「さっちゃん? ないてばかりいてはダメ。わらって」
おかあさんはさっちゃんのほっぺたをさわるだけで
やっぱりあたまをなでてはくれません。
「どうして? どうしてそんなことい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)