絵のない絵本のような/朝原 凪人
 
というの!?」

さっちゃんはおどろいてしまいました。
だっておかあさんが、
さっちゃんがなくのをおこったのは
これがはじめてだったからです。

「おねがいさっちゃん。わらって」

「ヤダ。ヤダヤダヤダ!」

さっちゃんはどうしていいのかわからなくなりました。
(どうしておかーさんはあたまをなでてくれないの?)
(いつものおかーさんじゃない)
(こんなのおかーさんじゃない)

「さっちゃん」

「ヤダ! そんなこというおかーさんなんて、だいっきらい!!」

さっちゃんはびょういんにきたときよりも
もっとなきながらはしっておかあさ
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