新川和江氏への手紙 〜名詩を読む?〜 /服部 剛
てゆく日もある)
という言葉から、作者はこの詩の中の海に永遠を垣間見ながらも、
大自然の前では人の一生も瞬く間の夢にすぎないと感じて目の前に
広がる海を見つめている詩人の姿が目に浮かんで来るようです。
次の日も「波打際の岩」に腰をおろす作者は「さかしらに書物を
ひらくが 何ひとつ読みとることができない」と、長年生きても尚
深まる人生の謎を悟り得ぬまま「やがてわたしは この世から去っ
てゆく」ことを、読者にそっと打ち明けている気がします。
この詩を読み終えて、最後に印象に残るイメージはこの詩の題そ
のものである「はたはたと頁がめくれ・・・」という詩情(ポエジー)であ
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