新川和江氏への手紙 〜名詩を読む?〜 /服部 剛
であり、
その中にこの世の(時間(とき))を超えた(永遠)が垣間見えるのは、作
者が人生を生きて来て、無数の詩を書き続け、辿り着いた(無常の
境地)がこの詩に現れているからでしょう。
この詩を書かれてから幾年の月日が流れた今も、新川和江様は、
「波の届かない岩の上」に腰をおろす日があるのでしょうか。そし
て、潮騒の響く海に瞳を細める詩人の胸に、どのような過日の想い
出が甦るのでしょうか・・・この手紙を書いている筆を置く前に、
瞳を閉じると、潮風の中ではたはたと頁のめくれる、その音が、遥
か遠くの海から聞こえて来る気がします。
* 文中の詩は「生きる理由」新川和江・著
(花神社)より引用しました。
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