苺を求むる/カンチェルスキス
わず、背中に五寸釘を打たれたような心境になって、言葉がぜんぜん出ませんでしたの、もう次に何か言われるまで黙っておこうとか、何も言わずにこのまま通り過ぎたいと思ってたところ、お婆さん?はたくわんの先っちょをにょろっと調和よく出したまま、おしゃべりになったのでございました。
「んー、わしは小学校しか出ていないですけん、その文字、習っとらんから読めませんですけん、ごめんなさいよ。じゃが、なんか点滅しとる」
あ、とわたしは、お尻の穴がきゅっとしぼむ思いがした、なせばなるなる学校教育って歌詞がわたしを最近とらえて離さないあのリフに乗って、大空を駆け巡ったのでございました。
「あのー、お婆さんや。世間
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