苺を求むる/カンチェルスキス
 
世間的には豆腐には絹ごしと木綿の二種類があると広く言われてございますが、間違った物の見方などと奇天烈な言い方はしませんけれど、それは間違った物の見方というものでございます。豆腐には、絹ごしと木綿の他に、アウトローという分野があるのでございますよ。通称、悪人豆腐と言われ、壁にぶつけるのが通常の使用方法でございます」
 わたしの足の裏の点滅する懐疑という二文字はますます点滅のレベルを倍増させ、文字のサイズも大きくなり、フォントもすでに明朝から毛筆体に変わりましたでございまして、お爺さん?にそれを見透かされやしないか、たこ焼きを裏返すときのように心落ち着かなかった。
「けっこう。けっこう。これからは
[次のページ]
戻る   Point(5)