大きなノッポの樹乃下day/影山影司
 
が病む姿を見て、絶頂に達している。狂ってやがる。

「重いんだよ」
 成長を止めない病める大樹の重さが、腰に響く。
 もう既に僕の理性は、本能に駆逐される寸前だった。花粉を飛ばしたい。果実を実らせたい。光合成したい。陽の当たる方へ。いや、それよりも、酸素を。
「重いんだよ」
 もう一度唱えようとしたが、既に僕の舌も植物化を始めていた。にょろにょろと地面を這うように卑しく成長を遂げる舌は、謎の体液でぬらぬらと濡れていた。
『しかし僕にはふさわしい』
 手足の指はキノコと化す。ばふばふと胞子を飛ばすが、どれほど遠くへ行けると言うのだ。周囲に散っただけの哀れな白い粉は、あっという間に世俗
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