背中/千月 話子
よ」と母が言う
お母さん あなたも燃えているじゃない
体中が ふつふつ と 燃えているじゃない
醜いものは 誰が決めるの?
皆 夕日で燃えているのに
金色の朝日が広がって
可愛いお花が おはようを言う
光りが欲しい 光りが欲しいよ
空を仰いで 揺れている
カーテンの隙間から射す薄い光り
私達の程好く丸い背中に絡まる
まだ ほどかないでいて
金色の朝日が広がって
水面にさざ波は立ち
いいえ あれは朝花の散った跡
咲き誇るのが早過ぎて
誰も見てはくれないから
朝顔よ あなたにあげる
一番最初の花の 名前を
朝焼け
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