野本京子さんの思い出/本谷 建治
合わせもなく、しゃれた技巧も無かったが、生きた言葉たちがおとなしげに並んでいた
目障りな自己主張もなく、さりとて、ちょっとやそっとじゃ子揺るぎもしない
本物の言葉がつづられていた
私は「朗読してみたい」と本気で思い、何度も何度も読んでみた
最初に私が読み取ったのは「諦念」であった。
それを軸に読み方を構成した
しかし、それは間違いであることに気づかされた
とある女性がその作品を朗読した時
野本さん自身から「フリルのスカートを穿いた姿で
かわいく読んでほしい」との依頼があったのだ
晴天の霹靂とはこのことかと思うくらいショックなことだった
「純粋かいだん」の中に内
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