日常の革命/服部 剛
話器を置いた。思えば今迄の僕は、職場の仲間とのそんな
一つ一つの連携を怠ってきた。ほんの些細な心遣いで周囲の人に微
笑みが生まれることを、僕は忘れずにいたい。
店内に客が一人増えた。階段を下りてきた赤い帽子の店員は忙し
げに音を立て、ゴミ箱から取り出した大きいビニール袋を手に再び
階段を上がり、杖をついてゆっくりと下りてくる初老の男性に満面
の笑顔で「おはようございます!」と言う。
今日は「新任研修」に行くが、僕は今の職場で8年働いているの
で「新任」ではないのだが、今ここにいるのも(時)が命じたこと
である故に、今日の研修でいつの間にか忘れていた「初心」を心に
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