ゲームの規則/藤原 実
はまるで 内側から白いけむりがかかったように曇ったままなのだ
しかも 街じゅうの鏡という鏡が こんなふうに みんな曇ってしまっているという
<おねえさんたちは 窓ガラスやショーウィンドウ コップや公園の池の水も覗き込んだけれど
みんな白いけむりがかかったようで だれもじぶんのすがたをみることはできなかったんだって>
<白雪姫は> と少女は考える
<これでイジメられなくなるだろう ナルキッソスも 水仙にならずにすむじゃない
だいいち そんなお話はみんな書き換えなければならなくなるだろうな>
――― そうはいかないんだよ
という声に 少女は驚いて振り返った 机のうえに一冊の本が
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