ヒューム「ベルグソンの芸術論」(3)/藤原 実
 
三郎『文学青年の世界』

というような西脇のモダニズムの詩学が受け入れがたいものだったろうことは想像がつきます。

「私の詩風はおだやかにして古風である。これは情想のすなほにして殉情のほまれ高きを尊ぶ、まさしく浪漫主義の正系を踏む情緒詩派の流れである。」

と詩集『青猫』の序文で自己規定した朔太郎からみれば、「オブジェ」の詩などというものは、表面的でうすっぺらなもので、およそ詩と呼ぶに値しないものと映ったのでしょう。

モダニズム詩のスポークスマン的存在であった春山行夫は、このような朔太郎の態度を「その主張の根柢に文学の歴史的概念を欠く」ものとして激しく攻撃しました。
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