ヒューム「ベルグソンの芸術論」(3)/藤原 実
 
限反射の遊戯のごときものにほかならない。…(中略)…必然の支配する堅固な世界を喪失した同じ瞬間に、なにものにも根拠づけられていないがゆえに、かえって偶然の戯れに刻々に形成され、たえず変容しつつ同一であるような無底の空間を発見する特権にあずかったのである。偶然とは無神論者に下される恩寵にひとしいものにちがいない。」

「私たちの生は、ことごとく、虚無のあくなき飢渇をいやすための終りのないバケツリレーであるのかもしれない。…(中略)…だが同時に、山野に伏してはふたたび旅立つこの風雲(偶然)に身をゆだねた全行程は、投げられては立つ起き上がり小法師や賽子の遊戯運動そのものでもあるのだ。否定と肯定は果て
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