新茶の季節<散文編>/佐々宝砂
く安くて軽いお茶がある。お茶を選別するさいに、いちばん軽い部分として分別されるものだ。フワは一度煎れたらおしまいで、二番煎じができない。しかし、緑濃いフワの一番煎じは、緑茶に馴染みのない人には高級茶のように感じられてもおかしくない。そのせいか、へんてこな名前をつけて土産物屋でもフワを売っている。変な名前のお茶を静岡の土産物屋で見つけたら「このお茶、二番煎じしてもおいしいですか」と訊ねるといい。土産物屋の店員が変な顔をしたら、そのお茶は買わない方がよろしい。あんな安物を綺麗に包装して土産に売るのは、なんとなく、ずるい。まずいお茶ではないけれど、ほんとに安い一山いくらのシロモノなのだ。ちかごろ茶工場で
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