ある電話/I.Yamaguchi
 
け安いものを、とシチューを作ることにした。昔給食で見た肉の赤、野菜の緑を一品で補って、しかも一食百円以下のものというと、当時はそれしか思いつかなかった。
 その頃僕はピーラーを持っていなかったので、ジャガイモとニンジンの皮を、身を削りながら三十分もかけて剥き、たまねぎや肉と同時に鍋に入れて炒めた。すると、すぐにジャガイモがチリチリ削れて鍋に白くこびりついた。それを取ろうとしゃもじで削っても白くなったところが黒く焦げついていった。焦げをしゃもじで削りながら、次からはたまねぎを先に鍋に入れよう、と肝に銘じた。しゃもじで鍋の中をしゃにむにかき回し、肉の色が鈍く変わったところで水を七〇〇?はかって入れた
[次のページ]
戻る   Point(2)