ある電話/I.Yamaguchi
に言われなきゃならないの?」
「まるで皆、この世界はみんな心が透明で悪い人はいないのだけど、どっかの星から心の透明じゃない人がやってきて人に迷惑なことをするから、そう言う悪い人はどんどん排除していきましょうといっているのと違わないのよ」
今思うと、彼女の思う皆というのは僕も含まれているのに違いなかった。少なくとも、電話で突然別れると叫んだ彼女のことを、僕は気が狂ったのだろうと思いたがっていた。彼女の言う透明じゃない人に、そのとき彼女を抱きしめた自分は含まれていないかもしれないが、こう考えている自分は確かに透明じゃない、と思った。
五分かけて流水で取り除いてもタマネギの辛味をのぞくには不十
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