ある電話/I.Yamaguchi
のことを初めて会う親戚と見ている間、のど仏を入れる前に骨壷に流した骨のかけらは一体どこの骨だったのかと考えていた。この世にいたときと同じ順序で骨を入れなければ生きていたときの形であの世にいけない、と言うならば、大腿骨と壺の間にまぎれているはずの肋骨の粉は新しいアキレス腱になっているのかもしれなかった。そう考えても、笑う気はしなかった。
前日の通夜の時にマキから電話がかかってきていた。通夜ぶるまいの間にかけなおすと彼女は電話でしようというのだった。何度も拒否はしたが、彼女はこういうときだからやりたくなるのだと言って聞かなかった。すでに指まで入れているのだと言っていた。僕はあきらめて寺の門に寄り添
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