ある電話/I.Yamaguchi
 
たのだと思いたかったが、好きだよ、と言った回数を数えている内に意識が飛んだ。
 六時に起きて目玉焼きを作った。授業があった。一人暮らしになるまで朝ごはんで目玉焼きを食べたことはほとんどなかったが、ドラマの影響からか、しっかりした朝ごはんというのは目玉焼きで始まるのだ、ということが染み付いていたが、いざ作ろうとすると、卵が上手く割れずに黄身が白身の上をとろとろと流れていった。三回目に失敗したときに僕が黄身のなかに指を突っ込みながら卵を割っているということに気づいてから、爪の先だけで卵の殻を破るようにしていた。
 フライパンに水を入れて弱火にすると、マキからメールが来た。やはり、というべきか、別れ
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