鳥かご/土田
 
いる頃ぐらいに起きて見る、タモさんやみのさんもぜんぶ放って、鳥かごの前で頬杖ついて鳥とにらめっこしながら「ほら、言ってごらん」って、十分後おきぐらいに鳥に問い掛けるんだ。     
 ぼくはそのののちゃんの言葉の意味をあまり深く考えずに、三限の三島由紀夫を熱弁する先生に感化された眠気に喝を入れて、鳥のせいで放られたいつもなら寝ぼけ眼で面倒くさそうに相手するののちゃんとの何でもない一時を、別に鳥に嫉妬したわけじゃないないけど、何となく思い浮かべてみたんだ。
 ののちゃんは、いつも朝の六時すぎにべろんべろんになって、ドアを開け閉めするとき「ギィーバッタンッ」って言いながら帰ってきて、寝ているぼくの
[次のページ]
戻る   Point(2)