大道の宵/板谷みきょう
しくも、お国の為の慯夷軍人とあいなりまして、下手なハモニカ、アコーディオン。奏でましては、物の哀れを売り物に致しておりました。今、皆様方の中に居られるご年配の方達には、おぼろげにも幼いながら、記憶に新しい事でございましょう。ところが、これまた、ぎっちょんちょん。かの有名な東京オリンピックのその年を境に致しまして、この日の本、日本は当時の《お偉いさん》達が、片輪者を『障害者』なぁんて名前で呼びまして、全国津々浦々から何じゃかんじゃと集めては、尚一層に人々の目の届かない様にしたのは、ご存じでございましょうか。実はこれ裏話でございますから、ちょっと声をひそめて語らせて貰いますよ。聞き取りにくいお客様は遠
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)