大道の宵/板谷みきょう
 
来るとメルメス同様、再び病いに苦しむ人達を治療し始めたのでございます。しかし、この装置も又、木と金属を交互に重ねた温室の様な箱に見えるだけのものであったのでございます。そのために、様々な科学者や知識人に非科学的とそしられ、さげすまれ、ののしられ、あざけられまして、哀れウェルヘルム・ライヒその人はと申しますと、牢獄の中で狂い死の最期を遂げたのでありました。所は変わって日出ずる国。私達の住む日の本、日本のお話しでございます。かつて片輪者や不具、奇形、気違いと呼ばれていた者達は、『座敷牢』なる部屋に閉じ込められるか、自らの不具を前世の因果として、見世物にする事で生業を立てたり致して暮らしてました。世間の
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