大道の宵/板谷みきょう
 
く言うなれば『霊魂』、つまり『魂』の存在とでも言いましょうか。それを『動物磁気』と命名致しまして、全ての病いは、磁気の流れの澱みにあると考えたところから、病いに苦しむ人々に《磁気桶》なる機械を用いまして、治療致したそうでございます。その効能はと申しますと、たいしたものだったそうでございます。暫くすると噂が噂を呼びまして、たくさんの人達が集まっては、その恩恵にあずかったそうでございます。だがしかし、鉄の棒の突き出た《磁気桶》なるその中身はと申しますと奇妙きてれつ摩訶不思議。なみなみと満たされた水に浸された桶の中が、何と。これが以外や以外、硝子や鉄くず、空き瓶と云ったガラクタの山だったそうで、早速、欧
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