深淵の森へ/はじめ
 
で人生を終わりにするのね?」
 僕は深淵の森に空いた銀灰色の空を見上げて白い溜め息を吐いた 「そうだね」
 「今まで生きていて辛くなかった?」と君は僕の顔を覗き込んだ 「心が無になっているでしょう。躊躇っているの?」
 僕は両手で顔を擦ってから 無心になった心をずっと見つめてからこう言った 「躊躇ってなんかいないよ。ただ、湖のように波立たせるものが無いと生きようか死のうかなんて考えなくなるんだ。今はただ、君とこうしてじっとしていたい」
 君の退紅のおかっぱ頭は風に揺れて君によって柔らかい耳にかけられた 君にキスをしたくなった 僕は君にキスをしてもいいか聞いて キスをした
 梅のエキスを凝
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