ライトブルー/チグトセ
埋もれた
壊れたように見えるラジオは
いかにも古そうな錆のある音で
クラッシックを気ままに演奏していた
知らない曲だが
きっと愛の曲だ
間違いない
何故なら、悲しげで、少しだけ明るいから
指先がさあっと溶けて海と同じ色になった
その場所から感情が流れ出ていった
きちんと整列して
ごちゃごちゃに混ざらずに
自らの意義を把握して
それぞれの筋を進んでいく
撫でようとして指を差すと
泡と一緒にむずがる
ので、そっとしておく
やがて輪郭も溶けて
僕は仰向けのまま広い、広い広い広い広い広い海へ広がっていく
ラジオのスピーカーから流れる音楽は
まだ悲しいメロ
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