ライトブルー/チグトセ
 
埋もれた
壊れたように見えるラジオは
いかにも古そうな錆のある音で
クラッシックを気ままに演奏していた
知らない曲だが
きっと愛の曲だ
間違いない
何故なら、悲しげで、少しだけ明るいから


指先がさあっと溶けて海と同じ色になった
その場所から感情が流れ出ていった
きちんと整列して
ごちゃごちゃに混ざらずに
自らの意義を把握して
それぞれの筋を進んでいく
撫でようとして指を差すと
泡と一緒にむずがる
ので、そっとしておく

やがて輪郭も溶けて
僕は仰向けのまま広い、広い広い広い広い広い海へ広がっていく
ラジオのスピーカーから流れる音楽は
まだ悲しいメロ
[次のページ]
戻る   Point(5)