昨/葉leaf
 
い。「死とはただの言葉ではない。人の死は広大な時空を孕み、そしてその時空の中に、葬儀などの出来事の連鎖を孕み、またその人にまつわる人々の感情や思考などをも孕んでいる。人の死を頂点に発される事象の系列は、複雑に交錯して互いに浸透し合っている。」ぼん風の音は、僕の思索に絡み付いて同化した。そして、思索もろとも彼の死の中に組み込まれていった。

    く
                ほ
 梅建撫称
    奇のしけられ
ぐどちょう
              ぎゅうていて

昼下がり、ぼん風は止んだ。窓の外のヒバの木に何か動くものを見た。光を受けた葉と光を遮られた葉では著しく明る
[次のページ]
戻る   Point(17)