虹のかけら(あぶくの妖精の話)/板谷みきょう
 
娘にされてもなお、町の片隅で人の幸福を探す事をしていたのでありました。暮らしぶりは貧しさそのものでありました。他人の幸福作りの為に、自分のことすら後回しにしてしまうのですから。それだけ余計でありましたので、辛さも余計でありました。だって元は妖精だったのですもの…。
 町に住む妖精達の中では、人間にされた妖精の噂で、もちきりとなりました。暫くは、あぶくの妖精の回りを囲んでは、覗き込んだり話しかけたりしてみる者もおりました。しかし、それもすぐ止めてしまいました。それは、人間にされた妖精にはすぐ目の前にいる仲間の妖精達を、見る事も話す事も共に語り合い笑い合うことすらできなかったからです。その姿を哀れん
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