虹のかけら(あぶくの妖精の話)/板谷みきょう
れんで他の妖精達が涙を浮かべても、人間の娘となった妖精には何も見えませんでした。ただいつも一人、幸福を思い探しあぐねては疲れ果て慎ましく、貧しく暮らしていたのでありました。
ある日、娘の元に小さな包みが届きました。誰が届けてくれたのでしょう。そうっと開けてみると、そこには娘があぶくの妖精だった頃に、いつかの少年に与えた虹のシャボンの小さな玉がありました。少年が心を痛め、願いを込めた虹のかけらは、真珠の指輪となっていたのでした。少年の想いを寄せていたその少女こそが、人間にされてしまったあぶくの妖精になっていたのでありました。
(一応の脱)
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