虹のかけら(あぶくの妖精の話)/板谷みきょう
、その美しい虹色の玉にささやかな願いを込めると、想い続けていた少女に贈る事を決めたのでありした。勿論それが少年にとっては、精一杯の事であったのです。
その日を境に浜辺から、少年の姿は見当たらなくなりました。
そして、あのあぶくの妖精も。
秋も深まった誰も居ない海辺では、妖精達が楽しげに遊んでおりました。そこにはあぶくの妖精の姿は見当たりませんでした。あぶくの妖精は虹のかけらを盗んだ事が見付かってしまい、その為に、記憶を奪われ妖精の世界を追われて、人間の娘にされてしまったからでありました。けれども、いたわり想う気持ちだけは消し去る事ができなかったのでしょう。あぶくの妖精は人間の娘に
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