虹のかけら(あぶくの妖精の話)/板谷みきょう
せの虹のかけらと呼ばれるものでありました。しかし、一体誰がそれを咎めることができましょう。そうしてあぶくの妖精は、虹のかけらで小さなシャボン玉をつくると、そうっと少年の傍らに置いたのでありました。
妖精達が息をひそめて見詰めている中、はたして少年は足元に転がっている小さな虹色の玉に気が付きました。つまみあげ、手の平に乗せたときに、風の妖精は砂粒を落とし、光の妖精は輝きを与えましたので、少年の掌の上でそれはそれは美しい虹色を放っておりました。実際小指の先にも満たないちっぽけなものでありましたが、少年はしばらくの間、寒さに震えていたのも忘れて、眺めていたのでありました。そうしているうちに少年は、そ
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