落丁した夏/前田ふむふむ
 
さに、
笑い合い、けなし合い、
二枚は、ゆれる炎が裂けて、左手のしわで蔽う手相に、
かなしみの声をあげて、
縮んでいる肉体だけを、妥協した砂場に沈めてから、
たおやかに、ビルの屋上から、折り鶴のように飛ぶ。
三枚は、マッチがふるえる手で、
さわやかに逝った白髪の鳩の腹を裂いて、
生ぬるく鼓動する携帯電話の設計図を取り出しては、
不眠症の顔を見つめあい、
組み立てる、新しい睡眠薬を飲みはじめる。
      美しい曲線を奏でる携帯電話の山の夢。
      溺れる女たちの食卓。
「一番鼓動しないデザインが、
        白いひかりの階段を昇っている。」
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