春に降る雨/ku-mi
ら、浅い呼吸、小さな声でつぶやいた言葉―
今年で何度目の春になるのだろう。
『歓迎会のお知らせ』という社内メール。毎年恒例になっている円山公園でのお花見ジンギスカンである。
お花見と言いつつ、肉の焼けた匂いと煙で風流もないと思うのだけど道内ではおなじみの光景。
いわゆる「ジンパ」。
学生時代にはサークル仲間と春の陽気の中、騒いで酔いつぶれた記憶がある。
赤い顔して笑っていた先に、あの人も赤い顔で笑っていた。固形燃料がどうの、と言っていた。どうでもいい話ほどなぜか覚えているものである。
会社のその歓迎会には新人の時に参加したっきりで、それ以降は何だかんだ理由づけて参加
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)