貴女への想いを/はじめ
 

 僕がまだ幼かった頃 二人の間の空気は僕を諦めさせ 貴女を沈黙させた
 貴女は死んだあの人の笑った時の横顔に似ている 八重歯が印象的なあの人の顔
 僕は右手をあの人の骨壺に入れて遺灰を握り取る 脆い骨の破片が砕けてバラバラと下へ落ちていく 僕は鼻を近づけて骨壺の匂いを嗅ぐ 死の匂いがする
 僕の背中で流れ星が流れていくよ 僕は旅人になるんだ あの人の骨壺を背負ってあてもない旅を そうすれば本当の心の傷が癒えるような気がするんだ 君じゃないと駄目なんだって言ってる?
 愁傷の中 無表情のまま場を和ませようとする小さな硬貨 この世界は過去のどんな世界よりも奥深く 希望が滲み出している 君
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